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IVUSA TIMES

日本最大級のボランティア学生団体IVUSAの素顔が読めるWEBマガジン

第56回 「茶番」戸田一輝さん

インタビュー第56弾は、明日から始まる「沖縄県戦没者遺骨収集活動2017」マネージャーの戸田一輝さんです。
戸田さんにとってIVUSAは「茶番」。でもただの茶番で終わらせる気はない。ん?その真相とは?とても読み応えがありますので、ぜひ最後までお読みください!!


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―今日はよろしくお願いします。まず自己紹介をお願いします。

 戸田一輝といいます。立命館大学の4年で所属は京都衣笠クラブです。


―今回は沖縄県戦没者遺骨収集活動でプロジェクトマネージャーを務めるということですが、そもそもこの活動はどんな活動なのでしょうか?

 まず、きっかけは、一人の学生の「戦死したおじいさんの遺骨を修養したい」という想いから1995年に硫黄島で遺骨収集を始めたのがこの団体の遺骨収集の始まり。


―社会問題を解決する団体であるIVUSAが行くからには何かしらの問題があるからこそ行くと思うのですが、それは一体どういったものですか?

 今年で戦後72年目になるのだけど、それだけ年月が経っても、今でも多くのご遺骨が土や植物に埋もれてしまっているんだ。この社会問題に対して取り組んでいるけど、IVUSAでないとダメかと言われたらそうでもない。ただ、現実問題として、遺骨収集は担い手が少なくなってきているんだよね。遺骨収集という活動自体認知度が低く、担い手も少ない中で、IVUSAは遺骨収集をする少ない団体として継続して活動する意味はあると思う。


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写真:壕内での遺骨収集作業の様子


―そうなんですね。

 ただ、確かにこの活動は「社会問題を解決しよう」って要素もあるけどそれがメインではないんだよね。社会一般でいう「平和学習」っていうものが一番メインになってくる活動なんだ。


―遺骨や遺留品を探して収集することだけではなく、その過程とその後もすべて大事になりますね。

 そうだね。収骨することももちろん大事。ただそれだけじゃないんだ。活動を通して学びの姿勢を持つこと。活動の目的を言うと、これからの社会を担う学生が、遺骨収集を中心とした沖縄県での活動を通して、戦争と平和への理解を深めることなんだ。

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―活動中に泣いてしまう人もいると聞いたんですけど、本当ですか?

 いるね。いるけど、自分はどう感じたかを素直に吐き出したりとか、それを他の人が受け止めてあげたりとかっていうコミュニケーションで少し楽になるところもあるから、そういう点では隊員同士のコミュニケーションは大事にしてる。


―本当に大事だと思います。もう本当に。私は中国の抗日戦争記念館に行った時、向き合いきれなかったんです。だから私はきっとご遺骨を拾ってる時泣いちゃうだろうなって。この活動って本当に向き合って考えるのが難しい活動だなって思います。

 そうだね。そう受け止める人もいれば、ニヒルな感じで受け止める人もいるかもしれないし。その人の性格やバックグラウンドとかも含め、各々が持っているものを通して沖縄戦っていうものを戦争と平和っていうテーマで見るから、考え方とか違いが出てくる。それが面白かったりするんだ。


―自分にはなかった多様な考え方にも触れることができますもんね。

 うん。俺が初めてこの活動に参加したときに、同じ班に泣いてしまう子がいたんだ。正直に言うと、最初引いちゃったんだよね。何泣いてんの?って思った。そんなこと言わないけどね(笑)。全く理解できない感覚だったの。でも、目の前には現にそういう風に捉えている子がいて、インパクトというか自分の中に残るものがあった。ある種その感覚を理解したいとも思った。自分とかけ離れすぎてるからこそ理解したいと思ったんだ。

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―初めて行ったのは1年生のときですか?

 そうだね。それから2、3年生と行き続けてる。


―1年生のときから変わらずにある考えはありますか?
 
 目線を沖縄戦だけでなくもっと他のところにも向けること。幅広い意味で戦争と平和について考えたいということ。それと、人それぞれ感じ方や捉え方が違うからこそ、自分が持たなかった感覚を示す人もたくさんいて、それを理解したいという気持ちは持ち続けてる。あとはね、「平和」というものを学び続ける態度、考え続ける態度っていうのは持ち続けなくてはいけないなとずっと思ってる。その時代・場所・環境だったり関わってくる人だったり、そういったいろんな状況で平和の形って変わると思うんだよね。画一的に全時代的に平和っていうものを決める事は不可能だと思っているから。だから考え続ける必要があると思う。



写真:活動中の戸田さん(1年生時)


―さすが、深いです。

 今度この活動の第2回総会、つまり他の活動でいう勉強会があるんだけど、そこで集団的自衛権の話とか基地問題とか、現代にある問題を扱おうかなって思ってる。沖縄戦だけではなくて、もっと色んなことに目を向けられるようにね。


―あえて勉強会という言葉は使わないんですね。

 うん。他の活動は、勉強会PTが、勉強会っていう場と勉強会の中身のコンテンツを考えるでしょ?それに対して、総会はプロジェクトの幹部の方で用意して、そこに各PT がコンテンツを持ち寄るって形をとっているの。うちの活動って扱わなくちゃいけない領域が多くて。戦争と平和の理解を深めるっていうところだけじゃなくて、パラレルで遺骨収集っていうのを俺らはメインにやるのであって。遺骨収集っていったら、僕を含めて素人が気軽にやれるものじゃないのよ。
※IVUSAでは活動の作り手をPT(プロジェクトチーム)と言います。


―確かに。ウェイトが重いですね。

そう。色々な遺骨収集の、IVUSAの言い方をすればノウハウ?コツみたいなものとかも、隊員同士で情報共有しなきゃいけないし。で、春プロでは有数の現場としてリスクが高い活動だと思ってる。


―そうなんですか?

うん。毎年そうだけどね(笑)。じゃあ現場でどうするか、どういった現場なのかっていうところもちゃんと知らなきゃいけないし。そんなに沢山のことを勉強会PTに任せてたら多分パンクしちゃうから(笑)。だからいろんなPTに分ける総会っていう形なんだ。

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―多くの事に注視しなければならない活動だからこそのやり方ですね。
今回PJマネージャーされるということですが、そのきっかけは?

 リーダーっていうポジションに対して、いいなと思ったのは、初めて参加した1年生のときのこの活動でリーダーをやってらした山崎梓さんっていう方がいるんだけど、その人を見て、リーダーっていいなとなんとなく思った。そこからIVUSAをやってきて、クラブでも役員とか経験して、リーダーとか向いてねぇなって思ってたのね(笑)。けどまあ、それでもやろうと思ったのは、一昨年の12月。その時もこれといって何かがあった訳ではなくて、いろんな動機があった。さっき3つ思い続けてるって話したじゃん?いろんな人の感覚を理解したいとか、戦争と平和って考える時に1945年の沖縄戦っていうものだけではなく、いろんなところに目を向けたりとか。あとは考え続けなきゃいけないっていう3つ。この3つから色々考えたことが動機につながってくるのかな。


ーそうなんですね。
 
 あとはやっぱり、遺骨収集っていうものをもっと多くの人に知ってもらいたい、やってもらいたいんだよね。それと、平和って普段考えることじゃないじゃん(笑)。だから、より多くの学生にこの機会に足を一歩止めて考えてみてほしいなって思った。っていうところと、この活動の参加者が年々増加していること、この団体が拡大路線をとっていることもあって、この活動のこれまでの形態を変えなくちゃいけないなと思ったんだ。「変わらないもののために変わり続ける。」これは俺が1年の時に参加したリーダーが言っていた言葉なんだけどね、このケースで変わらないものは、多くの人に戦争と平和っていうものに向き合って欲しいという事とかであって、じゃあそのためにこの活動の形を変えないとなって思ったのもある。それで、この活動に対して継続的に関わってる4回生が多くて、だから大きく一歩踏み出すのであれば、この代かなっていうのは思ってたりしてて。そんな色んな考えからプロジェクトマネージャーやろうと思った。


―なるほど〜。そもそも、初めてこの活動に行くきっかけは何だったんですか?

 もともと平和学習っていうもの、戦争とか平和っていうものに対して興味があった。そういういったものに対して、知識を集めることも考えることも好きだったから。


―普段からそういうことを考えていたんですか?

  戦争を扱っている映画を見るの好きだし。けど常に平和と戦争は何かとか考えてたわけではないかな。そんなこと常に考えてたら病んじゃうよ(笑)。


―答えが出てこなくて追い込まれそうですね(笑)。沖縄に関しては以上になるのですが、大丈夫ですか?

 こっちは大丈夫だけど、逆にそっちは大丈夫?まとめられる?この話(笑)


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―頑張ります!では今度は普段の戸田一輝さんは何をしているのかなーっていうところをお聞きしたいのですが。

 普段かあ。でも俺バイトもしてないからなあ。


―してないんですか!大学ではどんなことをされているのですか?

 法学部だから、学部での学びはやっぱり法律だよね。国際法務特修ってところで主に国際法、条約の話を勉強してたりする。でまあ、学部とは別で平和学習。立命館大学の国際交流平和セミナーっていうのがあって、中国、韓国、広島長崎に行くコースが3つ分かれてるのね。俺は1年生の夏に、広島長崎のコースを選択して、8月6日と8月9日に合わせてアメリカの学生と広島と長崎を訪れて、広島で被爆された方の話を聞いたり平和祈念館に行ったりとか、資料館に行ったり、夜に意見交換をしたり。1年生の時は受講生として参加したんだけど、2年目からは作り手の方になった。

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写真:一緒に作り手をやったメンバーとの写真


―そんなことも大学でできるんですね。

 授業だから教授もいるんだけど、教授と一緒にプログラムの内容の変更を加えたりとか、あとは10日間くらいの旅になるのね。最初京都で集合してそれから広島行って、長崎行ってっていう工程なんだけど。その約10日間の工程をどういう風に進めていくか。IVUSAでいう当日作戦っていう風に考えてくれたらわかりやすいと思う。資料館に何時に着くか何時に出発するかも考えたりした。3年生になったら、今度は去年受講生だった人がメインの作り手になるから、そのサポートをしたり、アドバイザー的な役割をした。2回生の時一緒にセミナーを運営したメンバーとか3回生になったときに面倒見た人たちとは、今でもちょいちょい飲み行く(笑)。


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写真:国際平和交流セミナーでのフェアウェルパーティーで撮った集合写真(2年生の時)


―IVUSAをやりつつ、ちゃんと大学でもこういった活動をしていたんですね。質問も残り少なくなってきましたが、今回の記事を通して、沖縄遺骨取集活動のこともですが戦争と平和についても多くの人に広い視野を持って考えて欲しいですね。

 そうだね。現代に目を向けて欲しいっていうのはある。感覚的にさ、今平和だと思う?


―日本は平和だと思います。

 日本に関しては、俺はけっこうギリギリの線行ってると思うんだよ。日本っていう枠を超えて世界は一般的に平和かと言われたら、俺は全然そんなことないと思うんだよね。中東とかアフリカとかを考えてみてほしい。あなた何するのって言われたら、ジャイカ入りますとか、まあそんなこと簡単に誰でも言えなくて当然なんだよ。でも平和ではない所もあって、同じ人間なのに自分とは全然違う環境で生きてる人達もいるってこと、それは意識として持っててもいいんじゃないかなって思うんだよね。


―そうですよね。では、最後の質問に行きたいと思います。戸田さんにとってIVUSAとは?

 でた。いろいろ思う事はあるし、そのときそのとき変わるけど、なんだろうね。「茶番」かな。けど、俺はただの茶番で終わらせる気はなくて、みたいな。そんな感じ?茶番とは思いつつも、本当の意味で茶番にしたくないってことかな。沖縄のプロジェクトマネージャー、IVUSAを茶番とか言ってる(笑)。


―でもプロマネして、役員してがっつりIVUSAしてるのに茶番ていうのはすごいですよ(笑)。
 
 なんとなく誰かが言ってることに乗って、なんとなく言われたことをしてっていうのが、自分がやらなくても誰かがやってくれるわとか、なんとかなるわっていう、そういう頑張ればできるけど別にやめてもいいかっていうもの空気感がこの団体はどこか支配してると思うんだよね。俺はそれが嫌いなんだと思う。それを皮肉りたいんだと思う。そうなってしまえば、本当の茶番になっちゃうから。俺は茶番をただの茶番で終わらせたくないなって思う。でも今思い返してみれば、1回生の時、2回生の時、3回生の時の自分ってほんまにただの茶番って思うんだけど、その時は本気だよね。今もこの活動のプロジェクトマネージャーとして本気で向き合ってるつもりだけど、でも1年たったらあの時の自分くそだったな、茶番だったなって思っちゃうんだよ、きっと。だからそういう意味でも茶番かな。

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―今日はとても濃いお話をありがとうございました。活動頑張ってきてください。



沖縄県戦没者遺骨収集活動の活動レポートはこちら



〜編集後記〜
戸田さんとても独特な話し方をされる方で、話せば話すほどすごいなぁ。深いなぁ。と感じて、もっと戸田さんを引き出したくて聞きたくなって普通30分の取材を1時間も話していただきました。ほんとに直接聴けてよかったです。この沖縄の活動はほんとに深い意味を持つ活動です。答えはでないかもしれません。けど、日本人として、人として、戦争と平和について広い視野を持って考えたいと思いました。
考え始めたら止まらなくなりそうです。(ちひろ)




取材:長谷川千尋(日本大学2年)
カメラ:浦野真凪(立命館大学2年)
編集:渡邊茉理(神奈川大学3年)